2012年9月25日火曜日

ザンビュランスの活躍(ザンビア訪問記その3)

ZAMBIKESの製品は、バンブーバイクフレームだけではありません。
現時点で日本では展開されておりませんが、黄色いスチールフレームのシティバイクやマウンテンバイク、荷物を運ぶZAMCART、そして、急病人やけが人等を載せて搬送する自転車救急車「ZAMBULANCE(ザンビュランス)」等がザンビア現地で販売されており、人々の生活や医療の改善に役立てられています。


今回のザンビア訪問では、こうした地元におけるZAMBIKESユーザーの生の声を聴くことを一つのテーマとしていました。
中でも、近年特に医療事情に問題の多いザンビアで大活躍中のザンビュランスのユーザーに会うため、ユーザーである2つの医療施設を訪問しました。

最初の医療施設への道中、大きな交差点に差し掛かると、さっそく患者を載せたザンビュランスに出会いました。この人は、ZAMBIKESではない自分の(?)自転車でザンビュランスを引いていました。このように適応範囲が広いのも、ZAMBIKES製品の良いところです。



追跡を試みたものの、上の写真のザンビュランスは予想以上に進むのが速く、結局見失ってしまいました…。


この日、最初に訪れたのは、市内中心部からそれほど遠くない、小さ目のクリニックでしたが、敷地内は診察を待つ人々で朝からごった返していました。

刑務所からも近いこのクリニックでは、2008年頃からザンビュランスを導入し、平均で1日5~6人もの患者をザンビュランスで搬送しているとのことで、まさにフル活用している様子。実際、同クリニックの責任者の方も、それ以前は背負うかリヤカーのようなもので運ぶしかなかったので、ザンビュランスを導入してからは早期の対処によって救える人が格段に増えたとおっしゃっていたのが印象的でした。

続いて私たちが向かったのは、現地で「コンパウンド」と呼ばれ、ルサカ市内にいくつか存在する貧しい人々の居住区の一つ、「カニャマ・コンパウンド」。



そのはずれにある医療施設「カニャマヘルスセンター」を訪問しました。



ここは、先ほどのクリニックよりも数倍大きく、診療を待つ人の数も桁違い。私たちは、ここで特にザンビュランスをよく活用していただいている、HIV対策部門の看護士Mwaijnmba Lubnwdaさんにお話しをうかがうことができました。



Mwaijnmbaさんの部門では、特にHIV患者の搬送のために、ザンビュランスを平均して1日1~2人以上は活用しているとのこと。カバーしている地域が同コンパウンド全体と広く、また患者を家から連れてくるだけでなく、より大きな病院へ移送したりもしているため、地元密着型のクリニックよりも搬送人数は少なくなっているようですが、搬送距離はむしろ長いようです。
実は、この日の朝に私たちが路上でみかけたザンビュランスも、このカニャマヘルスセンターから、10㎞離れた大きな病院へHIV感染患者を搬送していたところだったのでした。

決して道路状況の良くないザンビアで、これだけの頻度と距離で走っていれば、自転車はもちろん、ザンビュランスにもガタがきます。ちょうど私たちが伺ったときにも、ザンビュランスが一台修理を待っていました。このザンビュランスは、英国のODAにより寄付されたもののようですね。



こうした製品の修理やメンテナンスも、現地ZAMBIKESの重要な仕事の一つです。

本記事の冒頭の写真をご覧になって、トラックや車に挟まれて急病人が救急「自転車」で病院へ運ばれている姿には、違和感を覚える方も多いかもしれません。事業会社のトラックや裕福な人の車は多く走っていても、貧しい人たちの命を救うための病院には、救急車(自動車)も無い…。ザンビアという国で生じている歪みの一つといえるのかもしれません。


つづく。

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